
サイボウズ式編集部より:10月になりました。新卒で会社に入り、部署に配属され、ようやく仕事に慣れてきた方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。そんな中で、「自分はまだ何もチームに貢献できていない」と悩みを抱えている方は多いのでは? 著名ブロガーによるチームワークや働き方に関するコラム「ブロガーズ・コラム」。今回は、新人にありがちな「無力感に対する悩み」をあらためて考えてみようと思います。 ブロガーズ・コラム チーム4人でお届けします。最終回は朽木誠一郎さんです。
こんにちは、朽木誠一郎です。みなさん調子はどうですか、僕は無力です。 「自分を無力と思いがちなあなたへ」というテーマのこの連載ですが、まさに僕は日々、無力感を感じている当事者でもあります。 でも、この無力感って、そんなによくないものなのでしょうか? というより、この無力感ってむしろ、なくなってしまったらヤバイのでは? 仕事を始めて6年目、新人さんよりは少し先輩かもしれない僕の無力感とのお付き合いの仕方が、みなさまのご参考になれば幸いです。やったことがないことができないのって当たり前なんじゃないか
できないのって恥ずかしいですよね、めっちゃわかります。でも、世の中には自分ができないことの方が多いと思うんです。 ごくまれに「この人、絶対、人生何周かしてる!」というような、初めからなんでもできる人もいます。しかし、ほとんどの場合、人生のイベントは初体験です。 そして、やったことがないことができないのは当たり前です。今はみなさんが労せず乗れる自転車だって、初めは補助輪をつけていたはず。公園で練習してたくさん転んだはず。 どうでしょう。仕事も同じではないでしょうか。 何度か繰り返していれば、たいていのことはできるようになります。周囲にヘルプしてもらったり、一度や二度失敗したくらいで落ち込んでいるのは、もったいないことです。 まずはとにかく、できるようになるまでやってみること。できるようになるまでやれば、理論上(?)何だってできるようになるじゃないですか。 それでもできなかったら、上司か先輩に相談してください。恥ずかしがらずに。 そもそも、できない仕事が振られることってあんまりないんです。だって、できなくて困るのは仕事を振る側だから。ということは、客観的にはできるはずなんですよね、その仕事。 でも、経験不足だと、何でできないのかは主観的にはわからない。だから、できる人の目でチェックしてもらうのが一番です。どこが悪いか、素直に聞いちゃいましょう。自分を無力と思わなくなる方がヤバイんじゃないか
じゃあ、お前はなんで今(6年目)も無力なんだよ、ってなりますよね。僕は無力ではあるけれど、誤解を恐れずに言えば、無能ではない、ということだと思います。 だって、人生ってできないことの連続じゃないですか。挑戦し続けていれば、無力感を味わうというのは、仕方のないことです。 だからこそ、むしろ、自分を無力だと思わなくなる方がヤバイと思うんです。できることしかしなくなった人間は、それ以上成長しません。これは自明ですよね。 その仕事をする期間が仮に残り30年だとして、30年間同じことだけをずーっとやり続けたいのか、ということも考えなければいけません。 一方、無力感を味わう分だけ、人は無能からは遠ざかります。 多分、少なくとも僕のような凡人は、「何でもできる」ようになることはない。それでも挑戦を続けていれば、スキルは際限なく縦に深まり、横に広がります。 また、各自ができることしかやらないチームは、想定外の事態に弱いです。 人と人とが関わり合って社会が成り立っている以上、その中でおこなわれているビジネスが、想定内に収まり続けることはほとんどないでしょう。 チームが変化に柔軟であるためには、各自のスキルが網羅的に取りそろえられていること、そのためにはたくさんの「できない」を経験する必要があります。 だから、できないことを恥ずかしいと思う必要はありません。むしろ、自分を無力だと思い続けることは、確実にチームを強くしていると言えるでしょう。