
「なんとなく空気を読んで残業してない?」
「会社と個人は対等な関係。その気構えを持たないとダメ」
「年収の差より、決裁権の大きさで比較すべし」
「仕事に何を求めているのか、改めてリストアップしてみる」
公開取材イベントとして開催された、スタートトゥデイ・田端さんとサイボウズ社長・青野の対談。第1回では、会社と個人のあるべき関係性について議論が深まりました。
実は、田端さんと青野には共通点があります。それは、どちらも3人の子どもを育てるイクメンということ。
第2回では「子育てより仕事のほうが楽。逃げているだけなんですよ」「塾に通わせるのは、親のエゴなのか?」など、田端さんの意外な“子育て論”も飛びだしました。
仕事と家庭、どうすればうまく両立させることができるのか。田端さんが著書『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言 』で主張する「正直者であれ」という言葉には、どういう意図が含まれているのか。正解のない問いについて考えます。
「仕事があるから」は逃げ口上



以前、岡田斗司夫さん(オタク文化に精通するプロデューサー、評論家)が「30代半ばからは、家庭より仕事にのめり込むほうが現実逃避だ」と言っていて。なるほど、確かにそうだなと思います。
ちょっと語弊はあるけど、ぶっちゃけ仕事をしているほうが、よっぽど楽なんですよ。わかります?


男は「仕事してるから」って言い訳をしがちだけど、そんなの子育てより仕事のほうが楽だから、逃げているだけ。弱虫の逃げ口上ですよ。


それに比べたら上司やお客さんのクレームなんて、ぬるいもんですよ。

田端信太郎(たばた・しんたろう)さん。1975年生まれ。NTTデータを経てリクルート、ライブドア、コンデナスト・デジタル、NHN Japan(現LINE)で活躍。今年2月末にLINEを退職し、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」やPB「ZOZO」を展開する株式会社スタートトゥデイ コミュニケーションデザイン室 室長に就任。7月には著書『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』(幻冬舎)を上梓した。
家族の対話は解決策を求めているわけじゃない




青野慶久(あおの・よしひさ)。1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立した。2005年4月には代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を行い、2011年からは、事業のクラウド化を推進。著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)、会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない」(PHP研究所)など。

これが夫婦になると、空気の読み合いが発生してしまう。買うか買わないか、の合理的な話じゃないから、難易度が高いですよね。

奥さんに「週末に寝てばっかりいないで、少しは皿洗いくらい手伝ってよ」って言われたから、家を飛び出して家電量販店へ行って、食器洗い機を買ってきたら、「違う!」と言われた話とか。




アンコントロールなものと向き合おう



どんなに一所懸命になって子育てしたって、事故で死ぬ可能性もあるし、難病で生まれてくる子どももいる。
誰が悪いわけでもない。世の中って理不尽なものなんだな、ってことが身に染みてわかりますよ。


うーん、どうでもいいやと思いながらも、やっぱり気になる。でも偏差値が高かったら良いということでもないでしょう?





いま成功していても後になって転落するかもしれないし、カーネル・サンダースみたいに60歳過ぎてから大成功するかもしれない。

3人目が生まれてマンツーマンディフェンスを越えた


置かれた状況で何ができるかを考える瞬間のほうが、はるかに幸せです。


なんとかして、妻に育児を押し付けようとしていた。仕事を理由にして遅く帰ろうかな、とか。









腹を決めて言い訳せず、今を楽しむ姿勢のほうが、幸福感を得られる気がします。
Twitterの顔出し&実名は最高のリスクヘッジ


僕が言う「正直者であれ」っていうのは、道徳とかモラルではなく、正直な方が得だという話なんです。


どうしてみんな正直に言わないんだろう、といつも思っているんです。

田端さんはTwitterでも自分の意見をストレートに発信していますよね。




「ここは妥協します」とはっきり言えればそれも正直者



それって最低限のマナーですよね。



「この人、自分の社会的生活、世間体のためにオーディエンスを犠牲にしているな」って。

例えば、経団連からの政策提言は全体の意見だから、個人の考えとはちょっと違う形になったりする。100%僕の思っている形では出ない。
自分も団体の一部だから、ウソをついている感覚になってしまっても、「それ、思ってないから」と言いにくくなっちゃうんですよね。







「この瞬間、僕はこれを最優先して、他のことには目をつぶりました」と言えればOKだと思う。

文:村中貴士/編集:松尾奈々絵(ノオト)/撮影:栃久保誠/企画:小原弓佳