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「もう出社しない」って本気ですか? サイボウズ社長 青野にアフターコロナの働き方をあれこれ聞いてみた

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社長はオフラインの世界にいない方がいい

吉原
吉原
青野さん、以前は「取材やTwitterばかりで仕事できてるんですか?」とお伺いしましたが、今度は「もう出社しない」と言い出したそうじゃないですか。
青野
青野
はい。新型コロナウイルス感染症が収束した後も、基本的には出社しない予定です。
吉原
吉原
一体どういうことですか? 本当にもう出社しないつもりなんですか? 社員としては驚きなのですが。
青野
青野
私もこれまでは、何だかんだ基本的には毎日出社していました。

「社長は出社した方がいい、出社しないといけない」という思い込みが、どこかにあったのかもしれません。昭和の人間ですね(笑)
Web会議システムのZoom越しに笑う青野

青野慶久(あおの・よしひさ)。サイボウズ代表取締役社長。著書に、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない』(PHP研究所)など。取材はZoomでのWeb会議で実施

青野
青野
しかし今回、出社もしなくなって、会議も完全オンラインになって大反省したんです。

何だかんだ「オフィスにいる人」ばかりが働きやすい状況を作ってしまっていたと。
吉原
吉原
なるほど。
青野
青野
「情報格差をなくそう」と考えてグループウェアを作ってきたはずなのに、実は物理的な場所によって、まだまだ情報格差を生み出し続けていたことに気がついたんです。
吉原
吉原
たしかに今回、原則在宅になって、これまでフルリモートで働いていたメンバーからは「リモートワーカーが増えて、正直嬉しい。気持ちをわかってくれる人が増えて、働きやすくなったから」という声も出ていました。
岡山で働く社員と新潟で働く社員が、それぞれ社内のキントーンに書き込んだつぶやき。「状況が状況だけに手放しで喜べないが、リモートワーカーが増えて、私は格段にやりやすくなっている」「今回、多くの人が在宅勤務をするようになって、 ボクは正直、うれしいなーと思っています。 なぜなら、みんなが同じ体験をしてくれたおかげで、 気持ちをわかってくれる人が増えたから」と綴っている

それぞれ、岡山・新潟でフルリモートで働く社員が社内のkintoneに書いたつぶやき(一部加工しています)

青野
青野
はい。だから、社長である私がオフラインの世界にばかりいちゃいけないなと今回思ったんです。オンラインの世界にいる「バーチャル社長」にならないとなと。

サイボウズはもうグローバルで1,000人ほどの会社になっています。ですから、その社長である私は、場所を問わずメンバーに声を届けるために、特定の場所にいない方がいいと気がついたんです。

オフィスはどうなる? 会議はどうする? 講演は?

吉原
吉原
おっしゃることは分かりました。ただ、本当にそうされる場合、いくつか気になることがあります。

まず、オフィスはどうなるのでしょうか? 高い家賃を払っていると思いますが、オフィスもなくしてしまうのでしょうか?
青野
青野
ネットワーク環境などを考えると、「働きやすい場所の1つ」としてのオフィスはあってもいいんじゃないかと思っています。
吉原
吉原
家庭の事情でオフィスのほうが働きやすい方もいるでしょうしね。
青野
青野
ただし、会議室はもう要らないかもしれません。
吉原
吉原
えっ。
青野
青野
リアルの会議室は、議論が会議室の中に閉じてしまうことになります。だから、これからはオフィスにいても、1人1人がWebの会議室にログインする。

そうすれば、オフィスにいない人も会議に参加しやすくなる。会議の内容を物理的な場所にとらわれず、もっとオープンに共有・公開していけるはずです。
吉原
吉原
つまり、会議もWebを基本にしようと。
青野
青野
Webでの会議が面白いのは、もう1つあって。座席順の決まりがなくなるんですよね。参加者全員がフラットに並ぶ。
サイボウズ社内のZoom会議で、参加者の顔がフラットに並ぶギャラリービューを表示した画面

Web会議システムのZoomで、役職等に関係なく参加者の映像や画像が並ぶ様子(一部加工しています)

吉原
吉原
サイボウズでは、もともと座席順なんて無かったですよね……?
青野
青野
そうですね。でも、会社によっては「社長はここ」と席順まで決まっていたりするんですよ。びっくりする話ですが。

そうなると、どうしても上座とか、中央に座っている人が場の中心と感じて、発言を萎縮しちゃう人もいると思うんです。

Zoomだと、それが無くなります。心理的な部分でじわじわ影響してくるかもしれません。
吉原
吉原
なるほど。
青野
青野
ちなみに、サイボウズでブランディングのアドバイザーをお願いしているおちまさとさんは「Web会議は、いかに分かりやすくリアクションを表せるかが重要」と言っていました。

テレビでワイプに抜かれるタレントさんと一緒らしいです(笑)
吉原
吉原
面白い(笑) 働き方やツールの変化が、組織の風土も少しずつ変えていく可能性はありそうですね。

あともう1つ、気になることがあります。青野さんは講演も多いかと思いますが、それはどうするつもりですか?
青野
青野
講演も、これからは原則リモートでの対応にしたいです。

移動時間や依頼を受けられる数、実際に集まっていただける人の数などを考えると、リモートのほうが圧倒的に効率がいいなと思っていて。
吉原
吉原
では、講演もこれから自宅から?
青野
青野
自宅からの配信だと子どもが乱入するリスクが高いので、東京オフィスに配信スタジオを作りたいですね(笑)

そうすれば、私以外の社員もセミナー等で使えますし。
吉原
吉原
それは便利そうです。なんだかYouTuberみたいになってきましたね(笑)

今は「諦めて、がんばらない働き方」も大事

吉原
吉原
アフターコロナの働き方についてはよく分かりました。

とはいえ、まずは非常事態の今をどう乗り越えるかが先になるとは思います。
青野
青野
はい。サイボウズも今、様々な形で提案や支援を進めています。

医療機関や行政機関、小売店、配送業など、今も現場で尽力している方々のためにも「出社を社員にがんばらせるな」と、経営者にテレワークを提案する新聞広告を掲載したり……。
青野
青野
治療薬開発のための機材リソースを提供したり、神奈川県や大阪府などの自治体の新型コロナウイルス対策にkintoneを活用いただくことになったり……厚生労働省とも連携を始めたところです。
吉原
吉原
少しでも早く収束するよう、サイボウズとしても貢献できると嬉しいですね。

個人のレベルで言うと、私たちは今どう行動していくべきでしょうか?
青野
青野
医学的に正しい情報をキャッチして、実行することはもちろん、「悪いことばかりじゃない」と前向きに考えることも重要です。変化のときと考えることが大事だと思います。

そしてもう1つ。社内でも言っていますが、「諦めること、がんばらないこと」
青野が社内のkintoneに実際に書き込んだ内容。この後に記載する「心と体の健康あっての仕事ですので、くれぐれも健康第一に」といったメッセージが記されている

青野が社内のkintoneに実際に書き込んだ内容(一部加工しています)

吉原
吉原
がんばらないこと、ですか。
青野
青野
例えば私の家も、子どもが通う保育園が休園になり、学童保育は閉鎖になり、妻は自宅待機となっています。今までのように仕事ができるとは到底思えません!

ここはがんばらずに潔く諦めて、家庭の平和を優先しながら勤務を続けたいと思います。もしかすると、家族と大切なときを過ごすチャンスかもしれません。

心と体の健康あっての仕事ですので、くれぐれも健康第一に。優先度を間違えず、まずは健康や幸福を大切にしていきましょう。

企画・執筆:吉原 寿樹/アイキャッチ:翠

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サイボウズ式特集「そのがんばりは、何のため?」

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一生懸命がんばることは、ほめられることであっても、責められることではありません。一方で、「報われない努力」があることも事実です。むしろ、「努力しないといけない」という使命感や世間の空気、社内の圧力によって、がんばりすぎている人も多いのではないでしょうか。カイシャや組織で頑張りすぎてしまうあなたへ、一度立ち止まって考えてみませんか。


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