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コストをかけられないなら認めちゃえばいい──エンジニア・光成 滋生(4)

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サイボウズ・ラボの西尾 泰和さんが「エンジニアの学び方」について探求していく連載の第21回(これまでの連載一覧)。サイボウズ・ラボの光成 滋生さんにお話を伺うシリーズ(4)です。

本連載は、「WEB+DB PRESS Vol.80」(2014年4月24日発売)に掲載された「エンジニアの学び方──効率的に知識を得て,成果に結び付ける」の続編です。(編集部)

文:西尾 泰和
イラスト:歌工房

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第2回では「教科書を一字一句読む」という勉強法が紹介されました。たとえば読者のみなさんが機械学習に興味があるとしましょう。良い教科書だと評判の「パターン認識と機械学習」(通称「PRML」)を買ってきて、ページを開くと数式だらけでさっぱり分からない……。こういう悩みは多くの人が持っているのではないかと思います。今回はそこを掘り下げていきます。

数式だらけの本をどう読むのか

時間がないときにはどうするのか

ラボでPRMLを読んだときは……

教科書がないケース

◆     ◆     ◆

「本を読んだら数式だらけだ、どうしよう」というFAQに対して、まずは目的を明確化することが大事というお話でした。目的が「その数式を読めるようになること」であれば、楽な抜け道などはなく納得いくまで時間をかけて一歩ずつ進むしかない、目的が「ツールとして使うこと」なのであれば、分からない数学を深追いはせず「そういうものだ」と認めて先に進めばいい、とのことです。

どちらの戦略をデフォルトにするかは筆者と光成さんとで違いがありました。物理学科出身の小崎さんも「分からないときはとりあえず先に進む」(第6回)という話でしたね。

数学の本は分からないときに「とりあえず先に進む」としてもよりいっそう分からなくなることが多いです。これはおそらく数学の本が「光成さんスタイルの読み方をすること」を前提として書かれているからなのでしょう。読もうとしている本の書かれ方や、何を目的として読むのかを意識して、読み方を切り替えていくことが有用だと感じました。光成さんもLinuxカーネルについて勉強するときは、問題ドリブンで、深追いせずに幅優先探索をするとのこと。対象によって自然に読み方を切り替えていますね。

ところで、サイボウズ・ラボ社内の機械学習勉強会は2011年2月から8カ月かけて行われ、この記事執筆時点で終了から3年が経ちます。今振り返って考えると、この勉強会で学んだことは3年の間PRML以外の本や論文を読む際に何度も使われました。今後もずっと使われることでしょう。初期投資はとても高かったですが、とても長期にわたってリターンが得られる投資物件だったと感じています。(了)


「これを知りたい!」や「これはどう思うか?」などのご質問、ご相談を受け付けています。筆者、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)


謝辞:
◎Web+DB Press編集部(技術評論社)のご厚意により、本連載のタイトルを「続・エンジニアの学び方」とさせていただきました。ありがとうございました。


この記事を、以下のライセンスで提供します:CC BY-SA
これ以外のライセンスをご希望の場合は、お問い合わせください。


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