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日本で子育てしにくいのは、子どもが「誰かの私物」だから──小島慶子×主夫・堀込泰三

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旦那さんが会社を辞め、一家を養う立場となったタレント&エッセイストの小島慶子さんと、妻の海外勤務などを機に会社を辞め主夫となる選択をした堀込泰三さん(「秘密結社・主夫の友」CEO)。

前回に引き続き、「主夫家庭」という共通項を持つおふたりに、子育て家庭を取り巻く状況や、夫婦でそれを乗り越えるためのポイントを語っていただきました。今回はその第2回目です(全3回)。

夫への態度、自分がすっかり「ひどい旦那」に

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タレント&エッセイストの小島慶子さん。夫が会社を辞めたのを機に2014年に一家でオーストラリア・パースに移住。いまは仕事のため出稼ぎ状態で、一か月くらいずつ日本とパースを行き来している。『大黒柱マザー』(双葉社)、『解縛』(新潮社)ほか著書多数

性別ではなく「その立場のとき、人が陥りやすいパターン」がある

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「秘密結社・主夫の友」CEOの堀込泰三さん。2人の息子(9歳・4歳)を育てる兼業主夫。東大大学院を卒業後、大手自動車メーカーでエンジン開発に携わる。2年間の育児休業を経て、2009年に退社。当時妻と子どもたちが生活していたアメリカへ渡り主夫となる。現在は翻訳業等。著書は『子育て主夫青春物語 ~「東大卒」より家族が大事』(言視舎)

「私は片働きなんて予定してなかった、とっても大変なの!」、被害者意識から解放された夫の対応

「主夫」になる決断をさせた東京の寂しさ

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ベビーカーが「問題」になる特殊な都市

日本では、子どもは自己責任で作った「誰かの持ち物」扱い

子ども自身に裁量を与えない日本社会

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次回に続く(次回は3月22日の予定です)


文:大塚玲子/写真:橋本直己/編集:小原弓佳


女たちは知らない、男の「働く以外の選択肢がない」苦しさ──小島慶子×主夫・堀込泰三

極論、人は働かなくても生きていける──小野美由紀さんの「自分らしい働き方」とは

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小野美由紀さん。文筆家。1985年生まれ。慶応義塾大学文学部フランス文学専攻卒。恋愛や対人関係、家族についてのコラムが人気。著書に『傷口から人生。〜メンヘラが就活して失敗したら生きるのがおもしろくなった』(幻冬舎)、『人生に疲れたらスペイン巡礼~飲み、食べ、歩く800キロの旅~』(光文社)、『ひかりのりゅう』(絵本塾出版)などがある

作家・ライターとして活躍する小野美由紀さん。自身の半生を愚直に描き、話題を集めた著書『傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのがおもしろくなった』には、身体をえぐるように鋭利で、ときに痛みをも感じさせる文章が綴られています。

多く寄せられている絶賛の声は、自分のカッコ悪さや恥部を堂々とさらけ出す小野さんの勇気や真の強さを讃えたものでしょう。行き過ぎた“教育ママ”から抑圧され、中3で自傷行為を始め、不登校になった小野さんは、きらびやかな大学生活になじめず、仮面浪人を経験。

その後、他人からよく見られたいあまりに、交換留学や世界一周1人旅、NPOでのボランティア、有名企業でのインターン、TOEIC950点など、いわゆる「ハイスペックな学生」として勝負できる武器を多く持ち、自信をつけたものの、わけあって「就活をやめる」選択をします。

そんな小野さんには「無職」だった時期もありました。普通の道を歩んでこなかった小野さんが、いかにして自分らしく働く道を見いだしたのか。常識にとらわれずに自由に自立して生きるために何をしてきたのか。

自分が本当にやりたいことは、体の内側に眠っている

極論、人は働かなくても生きていける?

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バイトで使い物にならなかったわたしが、天職に出会った

自分だけの習慣が、よい仕事を生み出すコツ

くよくよ悩まない。いつでも仕事は「自分次第」

文:池田 園子/写真:尾木 司

「転職したらいくらで給料を決める」は通過点──「働きたくなる会社」をサイボウズの人事制度から考えてみたら

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DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)とサイボウズ式で考える「働きたくなる会社」──。日本企業の未来について、サイボウズをモデルケースに議論をします。

DHBRの第1回討論会では「給料を市場性で決めること」の議論が起こり、「自社特有の社内スキルだけを身につけた人材はどうすべきか?」という新たな議題が浮かびました。

このテーマについて、サイボウズ社内でディスカッションを実施。副社長の山田理、事業支援本部長の中根弓佳、コーポレートブランディング部長の大槻幸夫が話します。モデレーターは、サイボウズ式編集長の藤村能光。

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サイボウズUS社長の山田は、アメリカからビデオ会議で参加

サイボウズの給料は「あなたが転職したらいくら?」で決めています

市場性のない人なんて絶対にいない

自分が欲しい給与・金額の根拠を説明できますか?

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山田理:サイボウズ株式会社 取締役副社長 兼 サイボウズUS社長。「kintone」をグローバル展開中

「働く」の報酬は給料だけなのか?

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中根弓佳:サイボウズ株式会社 執行役員 事業支援本部長

その会社でしか通用しないスキルに市場価値はあるのか?

年功序列は給料を一切考えさせない奇跡的なシステム

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大槻幸夫:サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長 兼 サイボウズLive プロダクトマネージャー

「給料が下がることもある」事実がフリーライダーを防ぐ

釣った魚を渡すのではなく、魚の「釣り方」を教える会社に

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社外で働くことが幸せな人もいる

人事制度の本当の理想は「制度自体をなくす」こと

社内評価だけで給料を決めるのをやめたら、多様な働き方が実現できた

ハーバード・ビジネス・レビュー読者への質問

今度はサイボウズのメンバーから、DHBR読者のみなさんに聞いてみたい質問を考えました。サイボウズは「いい会社」と言われることが多いので、こんな質問をぶつけてみたいと思います。

自社を"いい会社"と言う社員が集まる会社に死角はないか?

この議題を、ハーバード・ビジネス・レビュー読者はどう議論を深めていくか? 続きは「読者と考える「働きたくなる会社」とは」のサイトで、3月の4週目に公開予定です。

編集:藤村 能光・阿部 光博/写真:山下亮一


ハーバード・ビジネス・レビュー編集長は「働きたくなる会社」をどう考えているか

コップのフチ子は単なるガチャガチャじゃない、変なメディアなんですよ──倉本美津留とタナカカツキの往復書簡Ⅰ

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マンガ家・タナカカツキと放送作家・倉本美津留──。メディア、コンテンツ業界をけん引してきた2人。

タナカさんは、ガチャガチャ界で異例の累計1000万個以上を売り上げる「コップのフチ子」の生みの親で、趣味の水景画やサウナの本も出版している。仕事と趣味の垣根を超えて、「タナカカツキ」個人でエンタメ業界に“昭和の風”を送り込む。

倉本美津留さんは放送作家。ダウンタウンのブレーンとして名を知られ、「ダウンタウンDX」などの斬新な人気番組を手がけてきた。出会ったころからタナカさんの“昭和の匂い”を嗅ぎつけて、注目をしていた。

15年来の仲だという2人の往復書簡。メディア・コンテンツ業界のこれまでとこれからを話します。

サイボウズ式×現代ビジネス「ぼくらのメディアはどこにある?」で実施する往復書簡。やりとりの続きは、3月23日(水)と24日(木)に公開予定です。

タナカカツキは「1人メディア」の先駆け

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(写真左)倉本美津留(くらもと・みつる)/放送作家。「ダウンタウンDX」「浦沢直樹の漫勉」「M-1グランプリ」Eテレの子ども番組「シャキーン!」などを手掛ける。これまでの仕事に「ダウンタウンのごっつええ感じ」「伊東家の食卓」「たけしの万物創世記」ほか。近著に『倉本美津留の超国語辞典』『現代版 判じ絵本 ピースフル』(本秀康氏との共著)。タナカカツキ /マンガ家1966年大阪うまれ。1985年マンガ家デビュー。著書には『オッス!トン子ちゃん』、天久聖一との共著「バカドリル」などがある。週刊モーニングで『マンガ サ道』月イチ連載中。KaeruCafe.com

カツキへ

一番はじめにタナカカツキに出会ったときに「1人メディア」をやっているなと思った。SNSが普及して個人がメディアになっている今でこそ、みんながやっているようなことを、タナカカツキは15年前からやっている。

ちょうど『オッス!トン子ちゃん』を描きかけのころで、「どうやってリリースするの?」って聞いたら「わかんないけど、とりあえず描いてる。自分で手売りしようかな」って言うてて。

作品とかやり方も昭和の懐かしい感じがするんだけど、それが逆に新しい。古いけど、めっちゃ新しい。「温故知新」だと感心した。

タナカカツキらしいなあ、ええなあと思って見ているうちに、今度はマンガでもない「コップのフチ子」さんが生まれて、今度はグッズなんや!と。マンガの枠にもおさまらない。

タナカカツキ自身もそうだけど、フチ子さんというもの自体がメディアになってるやん。いろんな要素をコラボしてるし、雑誌やCMのタレントみたいになってるし。グッズまでメディアにしちゃった。

好きなことをピュアにやっているところにエネルギーを感じる。太陽の塔のパロディのイラストを描いてボケてたのも知ってたけど、それが岡本太郎記念館の館長に認められてしまう。そういうところがある。

太陽の塔の申し子みたいな世代の俺からしたら「カツキ、岡本太郎と、もう直でつながってるやん!」って、他人事ながらテンションを上げてしまった。

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ボク自身は、テレビがまだ混沌としていた、それこそ何でもありの時代から、インターネットが普及してスマホが出てきて、テレビとテレビ以外のメディアの境がなくなってきている現在までを経験しながら、こういう流れのなかで自分がどう変化しながら動いていけるかって考えてる。ホントに実験の連続で、いろいろやって来た。

タナカカツキは昔からずっとタナカカツキの道をひた走っている。先見の明があるというより、ついに時代がカツキを理解した!って感じがしてる。

コップのフチ子もガチャガチャもメディアになる

倉本さんへ

ありがとうございます。1988年にマンガ家デビューしてるんで、ちょうど30年くらい経つわけですが、15年前は切羽詰まっていたんだと思いますね。たしかに常にマンガを封筒に入れて持ち歩いていました。権力者とかに見せようと思って(笑)。

たとえば出版社の知らない編集者に見せて、否定的な意見言われても傷付くので、友だちに見せていましたね。サークル気分で、その延長。

友だちがおもろい! と言ってくれるのがうれしくて描いていたんですけど、当たり前だけどそれじゃあ仕事にならない。編集者に見せないと始まらないんですけど、友だちばかりに見せてて、自分で手売りするしかないかなと思いながら模索して。

結局、知り合いのデザイン会社のえらい方が一肌脱いでくれて、社費で出版していただくことになったんです。出版社ではなくて。

そんな流れなので、「1人メディア」をやろうとかまったく意識はしていなくて、むしろ下手なんだと思いますよ。僕はただピュアに昭和のテレビやマンガ、おもろかったものを真に受けて育ってきただけで。

昭和の時代は「はみ出したもの」が目立っていて、テレビも出版ももうちょっとやんちゃでゆる~いものがメディアに流れていましたよね。深夜放送とか、これ放送事故なんちゃうってものまでが。今じゃありえへん。

でもそれがめっちゃおもろい。まさに倉本さんが作ってきたものに影響を受けてきて、平成になっても僕自身は昭和のエッセンスで成り立っている感じですよ。

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コップのフチ子さんだって、あれ、昭和のOLですよ。それがなぜか今、30代の女性を中心にひいきしていただいてる。フチ子さんは雑誌に登場したり巨大化したりいろんな話があるんですけど、メーカーとライセンサーにすべておまかせしているので、僕のところに直接話は来ないですね。

僕の知らんところでいつの間にか広がっている。ありがたいことですね。監修も一応はやるんですけどフィギュアって小さいでしょ? 最近老眼がひどくてよく見えないんですよね(笑)。

コップのフチ子さんはガチャガチャでなにかできませんか? という依頼をメーカーからいただいたので企画を出して商品になったのですが、よくお客さんから「原作はないんですか?」って聞かれるんです。

原作はないんです。原作などはマンガ家の仕事……、僕自身「マンガ家やった!」とハッとしたりして。

なんでもメディアになるなあと思うんですが、フチ子さんシリーズは“変なメディア”なんですよ。本来ガチャガチャで出てくるようなものでもないし、そもそも使い道がわからない。

それまでは、ガチャガチャって動物とかキャラクターとか、あまりふざけたものはなかったわけです。最近は何に使うかわからなないものもたくさん出てきて、そうなるとガチャガチャ自体もメディアになりますね。

ガチャガチャの中身も会議を経て決まるわけだから、マシーンが雑誌のような役割を果たしているとも言えますね。だからつまり、僕もガチャガチャマシーンのなかでコップのフチ子の連載しているような感じなんですね。

作者の手が届かなくなったとき、メディアの影響力は増す

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カツキへ

なるほど、やっぱりタナカカツキは古くて新しい。最近自分のなかの流行語が「ルネッサンス」なんやけど、まさにタナカカツキは「ルネッサンス」やわ(笑)。

フチ子さんが、カツキが知らん間にどんどん普及しているのは真のメディアのかたちやね。最初に生み出した人間が知らない間に、世の中にそのものがあふれかえっているという状態は、まさにムーブメント。理想的な展開やね。

「発案者が知らない間に広がる」と言えば、日本のテレビバラエティー界でもよくある話。ある意味著作権がゆるい世界で、似たような企画が乱立してもあまり問題視されない。肖像権にはうるさくなってきたけど、企画に関する著作権のことは、あまり言わないでおこうという風潮があって。

だから、ゼロからイチを生み出した人間が、そっくりな企画を他で見て唖然としたりすることもある。ホンマ、つらいで〜(笑)。でも、テレビを、というか世界を確実にオモロくしていってると思わなあかんね。生み出すのが得意な人間は懐を深くもたんとってことやね。

タナカカツキさんと倉本美津留さんの往復書簡。「スマホ全盛期の今こそ、テレビが築いた”昭和のメチャクチャなノリ”が必要?」、「エンタメ50年の歴史上ずっと変わらない「おもしろさ」の本質とは?」に続きます。


タナカカツキ×倉本美津留 往復書簡②

画像をクリックすると、この記事の続き「タナカカツキ×倉本美津留 往復書簡Ⅱ」が読めます

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画像をクリックすると、この記事の続き「タナカカツキ×倉本美津留 往復書簡Ⅱ」が読めます

取材・文:徳瑠里香、佐藤慶一(現代ビジネス)/写真:岡村隆広

夫の残業代のかわりに何を「手に入れた」と思えるか、夫婦生活はいいとこ取りできない──小島慶子×主夫・堀込泰三

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旦那さんが会社を辞め、一家を養う立場となったタレント&エッセイストの小島慶子さんと、妻の海外勤務などを機に会社を辞め主夫となる選択をした堀込泰三さん(「秘密結社・主夫の友」CEO)。

前回に引き続き、「主夫家庭」という共通項を持つおふたりに、サイボウズワークスタイルドラマ「声」(全6話)を見ながら、子育て家庭を取り巻く状況や、夫婦でそれを乗り越えるためのコツを語っていただきました。今回は、その第3回目です(全3回)。

第1回 女たちは知らない、男の「働く以外の選択肢がない」苦しさ
第2回 日本で子育てしにくいのは、子どもが「誰かの私物」だから

「あなた稼いで」というママの気持ちを変えるには、どうしたらいい?

「働くパパ」に焦点をあてたワークスタイルドラマ「声」(全6話)。主人公は、東京の会社でエンジニアとして働く片岡(田中圭さん)。妻・亜紀子(山田キヌヲさん)との気持ちのすれ違いや、親の看病のために会社を辞めて帰郷した先輩・森嶋(オダギリジョーさん)とのやりとりを通し、いま、共働きで子育てする夫婦を取り巻く環境や困難をリアルに描く

「お金」と「家族の時間」の重要度の円グラフ、夫婦で開示し合うべし

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タレント&エッセイストの小島慶子さん。夫が会社を辞めたのを機に2014年に一家でオーストラリア・パースに移住。いまは仕事のため出稼ぎ状態で、一か月くらいずつ日本とパースを行き来している。『大黒柱マザー』(双葉社)、『解縛』(新潮社)ほか著書多数

オヤジの古い武勇伝は、みんなで白眼視する

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「秘密結社・主夫の友」CEOの堀込泰三さん。2人の息子(9歳・4歳)を育てる兼業主夫。東大大学院を卒業後、大手自動車メーカーでエンジン開発に携わる。2年間の育児休業を経て、2009年に退社。当時妻と子どもたちが生活していたアメリカへ渡り主夫となる。現在は翻訳業等。著書は『子育て主夫青春物語 ~「東大卒」より家族が大事』(言視舎)

組織は形に弱い、「今まで通り」に働けない人全員集合~!で仲間を増やす

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ワーッとなったら、自分の頭の中を翻訳して伝えよう

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(完)


文:大塚玲子/写真:橋本直己/編集:小原弓佳


女たちは知らない、男の「働く以外の選択肢がない」苦しさ──小島慶子×主夫・堀込泰三
日本で子育てしにくいのは、子どもが「誰かの私物」だから──小島慶子×主夫・堀込泰三

ずっと仲のよいカップルでいたい時、必要なのは「女子力」じゃない

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日々の疲れやイライラをついぶつけてしまう。相手を気にかけることがおろそかになってしまう……彼氏や彼女など、身近な人が相手であるほどやってしまいがちなコミュニケーションですね。パートナーとの意思疎通はどうあるべきなのでしょうか。

そんなパートナーシップに悩む都内在住の女子大生2人の悩みを聞くのは、「ブロガーズ・コラム 」でもおなじみの桐谷ヨウ(ex-ファーレンハイト)さん。恋愛や人間関係の本質を、軽快な論調でズバリ突くコラムニストです。サイボウズが公開したワークスタイルドラマ「」の内容をもとに、「パートナーコミュニケーション論」を繰り広げます。

「1時間の対話」が、「2人の今後」を左右する

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ドラマの中心は、田中圭さん演じる主人公・片岡とその妻の家庭。お互いに寄り添おうとする気持ちは見られるものの、仕事と家事に追われる生活の中ですれ違いがち。

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桐谷ヨウ コラムニスト、ブロガー。2012年、ブログ「My Favorite, Addict and Rhetoric Lovers Only」を開設し、一躍人気ブロガーに。「サイボウズ式」や「AM(アム)」など、多数の媒体で恋愛・人間関係のコラムを執筆。2016年2月には、初の書籍「仕事ができて、小金もある。でも、恋愛だけは土俵にすら上がれていないんだ、私は。」が刊行された。

「彼氏が変なプレゼントを買ってきちゃう問題」への対処法

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気づかいのできるあの人の秘密は「察し力」にあった

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モヤモヤする気持ちの伝え方は「早めに軽めに」

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編集:椛島詩央里/写真:橋本直己

「ほっとく勇気」と「調理時間の組み合わせ」でメシマズから「メシ楽」へ──コデラ総研 家庭部(60)

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テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第60回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「『ほっとく勇気』と『調理時間の組み合わせ』でメシマズから『メシ楽』へ」。

文:小寺 信良
写真:風穴 江(tech@サイボウズ式)

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前回は調理の基本として、レシピの読み方を中心に解説した。今回はレシピに書かれていない調理方法のノウハウをお伝えしたい。

ほとんどの料理は、煮る、焼く、揚げる、蒸すに分類されるわけだが、「蒸す」は蒸し器が必要なので、若干難易度が高い。筆者もほとんど蒸し物は電子レンジを使う程度で、蒸し器を使ってやったことがないため、これは割愛させていただく。

まず簡単なところで焼き物を例に考えてみよう。肉や魚の最もシンプルな調理法が、フライパンを使って焼くことである。油を適量ひいて焼けばいいだけなのだが、初心者のうちは焦げたり生焼けだったり、あるいは形が崩れてバラバラになったりすることが多い。

なぜそうなってしまうかといえば、調理時間をきちんと計っていないからである。レシピには焼き時間まで書いてあるはずだが、初心者ほど時間を計らず、自分の感覚で焼き加減を調整しようとする。そして焦げないかを気にするあまり、まだ焼けていないうちから端のほうをめくって様子を見たり、ひっくり返してしまったりする。

そうやって火が通らないうちに食材をいじり回してしまうので、身が崩れてしまうわけである。特にムニエルなど、魚の切り身を使った料理で起こりがちだ。なぜ分かるかといえば、筆者がずっとそんな調子だったからである。

レシピに書かれていないメシマズ脱出のコツは、「ほっとく勇気」だ。例えばレシピに片側5分と書いてあったら、キッチンタイマーを使って5分をきっちり計測し、タイマーが鳴るまでは絶対にいじらない。当然のことながら、火力にも注意を払う。中火で5分と書いてあったらその通りであり、強火でやれば2分半でできるわけではない。中華料理の炒め物でない限り、強火で焼くというケースはないはずだ。

プロの厨房でも、キッチンタイマーはよく使われている。レストランなどへ行っても、厨房から聞き覚えのあるタイマー音が聞こえてきたりする。筆者はキッチンタイマーを2つ、多いときには3つ使っていた。ホームセンターに行けば、音色の違うキッチンタイマーがいくらでも売っている。スマートウォッチがあれば、音声入力でタイマーをセットすることもできる。

調理時間を組み合わせる

最近はキッチンタイマーを1つしか使わないようになってきた。それは身体感覚で時間を覚えたわけではなく、毎回やる調理を通じて、いろんなもので時間が計れるようになったのである。

例えばうちでは米は炊飯用の土鍋で炊いているが、いつもの分量を火にかけて噴きこぼれるまでがおよそ5分だ。冷凍した食材を電子レンジで解凍するのもおよそ5分。味噌汁用の鍋にいつもの分量の水が沸騰するまで、およそ3分である。

以前もご紹介したと思うが、揚げ物はフィリップスのノンフライヤーに任せており、これで揚げ物が仕上がるまでだいたい15分。ガスコンロもタイマーが使えるものに入れ替えたので、これは任意の時間がセットできる。

こうした自動的に時間が計れるものや特定の工程を時間差で行うことで、他の焼き物や煮物の時間を計っている。これにあてはまらない時間のみ、タイマーを使えば済む。

それでも焦がしてしまうケースもあるが、それは複数の調理のうち、どれのタイマーだったか忘れてしまった場合である。あるいは無意識のうちにタイマーだけ止めてしまって、肝心の火を止めるのを忘れた場合だ。こればかりは今のところ、防ぎようがない。

以前は蓋をしてしまう煮物など、中身の状況が見えないのが不便だと思っていた。だからガラス製の蓋を買ったり、耐熱ガラスの鍋を使ったりしてみた。目で見て判断しようとしたのだ。だがこういうものは結局、湯気や水蒸気が内側に付くため、結局中身が見えなかった。

最近は多くの調理パターンを経験したので、レシピのない調理でもこれぐらいだと5分とか、量が多いから7分ぐらいかなとか、だいたいの調理時間が分かるようになってきた。こうしておそらく何分ぐらいだろうと予想を立てたら、その分数でタイマーをセットし、途中でいじらない。

こうすることで、1つの調理にかかりっきりになることがなくなった。同時並行のタスクを増やすことができるので、トータルでは同じ時間だが、もう1品余分に作れるようになってきた。自分なりの段取りを開拓すると、あとは組み合わせパターンで動くことができる。こうして手際が良くなると、同時並行で調理が終わった鍋類を洗う余裕も生まれてくる。すべての調理が終わるころには、洗い物も完了して綺麗にキッチンが片付いた状態で食事がスタートできる。

男性は元々、複数の行為を同時に行うことが苦手と言われている。1つのことに集中しないと、うまくできないというタイプの人も多いだろう。おしゃべりしながら車の運転ができないタイプ、とでも言おうか。

筆者もそういうタイプで、最初は調理も一度に1つずつしかできなかったが、半年ぐらい続けていると、ルーティンワークの効率化に頭が回るようになってくる。 そうなったら、あとは並行作業を行ってもしくじらなくなってくる。

なかなか最初からは上手にできないかもしれないが、一旦壁を越えると、あとは飛躍的に楽になってくる。そこからの調理が、実に楽しいのだ。(了)


本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、取り上げてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)


この記事を、以下のライセンスで提供します:CC BY-SA
これ以外のライセンスをご希望の場合は、お問い合わせください。

多様性ばかり追求して、本当に会社は成り立つんですか? 大学生が「100人100通りの働き方」を掲げる社長に聞く

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「100人100通りの働き方」を掲げる会社・サイボウズ社長の青野慶久に、東京農工大学リーディング大学院の学生が質問を投げかけました。多様性なんてないほうが、うまくいくのでは? 大企業にも多様性の考え方は広がる? 若者たちからの直球の問いかけに、青野社長が直球で答えます。

*この質疑応答は、東京農工大学リーディング大学院特任准教授・坂根シルックさんの依頼で行われた、青野社長講演会のあとに行われたものです。

ビジョンを伴わない多様性は、ただのカオス!

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採用難が、大企業の頭を切り替えていく?

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サイボウズ社長、青野慶久。愛媛県生まれ。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、1994年パナソニック(旧松下電工)入社。1997年にサイボウズを起業し、2005年より代表取締役社長。育児休暇を3度取得。新刊『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)を発売した

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自分と違う考えの人を「攻撃」する必要はない

「多様だからみんなハッピー」とは一概に言えない
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「こうじゃなきゃダメ」は、多様性が失われている

20160226_aonokouen_06.jpg 20160226_aonokouen_07.jpg (後編に続く)

文:大塚玲子/写真:尾木 司


メルカリのぶれない採用基準とは

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サイボウズの青野誠(左)とメルカリの石黒卓弥さん。最初は、この写真の右奥にある黒い「GO BOLD」のTシャツの話で盛り上がりました

「Go Bold」のロゴが入ったクールなTシャツを着て対談場所に現れたのは、フリマアプリ「メルカリ」を開発・運営するメルカリで、人事・採用を担当するHRグループの石黒卓弥さん。Go Boldとは「大胆にやろう」を意味し、同社が掲げる3つのバリューのひとつです。

人材採用にあたって「バリューに共感しているか」「事業に共感・理解しているか」を重要な要素として掲げ、イベントや記事などを通じて発信し続ける石黒さんとサイボウズ 人事部 マネージャーの青野誠、サイボウズ式編集長の藤村能光の3名で、メルカリ流の採用について話してきました。

会社が大きくなっても、創業者の思いが伝わりづらくならない理由

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石黒 卓弥さん。株式会社メルカリ HRグループ。NTTドコモに新卒入社、ドコモでは営業、人事、新規事業会社立ち上げ、その後に新規サービス企画を担当。2015年より現職。メルカリでは採用を中心とした人事企画を担当。現在3児の父であり三男出産時には2ヶ月の育休を取得

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最初の体重からの減量幅を教えてくれるbot。こりゃ一家に一台欲しいです……

育休取得率が目的化しても意味がない

(1)社員の家族を含めた環境の支援 ○産休・育休支援の拡充 産休・育休期間中の給与を会社が100%保障する制度です。安心して出産や育児に専念できる環境を整えています。 女性:産前10週+産後約6ヶ月間の給与を100%保障 男性:産後8週の給与を100%保障(メルカリ プレスリリースから引用)
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青野 誠。サイボウズ株式会社 人事部 マネージャー。早稲田大学理工学部卒業後、2006年にサイボウズに入社。営業やマーケティングを経験後に人事部へ。採用・育成・制度作りに携わる。

いっしょに働きたいのは、心からメルカリが好きな人

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大学名や性別は関係ない、見るのはデザインやコードだけ

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文:池田 園子/写真:尾木 司


「料理は手作りこそが愛情」という同調圧力が、日本の子育てをつらくする──山本一郎×川崎貴子

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東京大学と慶應義塾大学の研究ユニット『首都圏2030』で高齢化問題や少子化対策の研究マネジメントに携わる山本一郎さんと、「女のプロ」の異名を取る(株)ジョヤンテ社長の川崎貴子さんのお二人に、サイボウズのワークスタイルドラマ「声」を観て、子育てや家庭を巡る環境についてお話いただきました。

「自分は絶対に結婚できないと考えていた」という山本さんは、無事ご結婚され、今や6歳、4歳、2歳の3人の息子さんのパパに。川崎さんも、離婚経験後、元ダンサーの旦那さまと再婚。9歳と2歳の2人の娘さんを持つワーキングマザーです。

ともに仕事を持ちながら子育てにも奮闘するお二人は、「声」を観て何を感じ、そして現在の家庭をめぐる環境をどのように考えているのか? ご自身の子育て体験談を交えつつ、今の日本の夫婦を取り巻く過酷な環境について活発なやり取りが続きます。

ほんのちょっとした危機でかんたんに壊れていく、日本の家庭のきわどさ

「働くパパ」に焦点をあてたワークスタイルドラマ「声」(全6話)。主人公は、東京の会社でエンジニアとして働く片岡(田中圭さん)。妻・亜紀子(山田キヌヲさん)との気持ちのすれ違いや、親の看病のために会社を辞めて帰郷した先輩・森嶋(オダギリジョーさん)とのやりとりを通し、いま、共働きで子育てする夫婦を取り巻く環境や困難をリアルに描く

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山本一郎さん。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる。統計処理を用いた投資システム構築や社会調査を専門とし、株式会社データビークル取締役、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員、東北楽天ゴールデンイーグルス育成・故障データアドバイザーなど現任。統計分析や数理モデルを用いた未来予測、効果分析を専門とする。東京大学と慶應義塾大学とで組成される「政策シンクネット」の高齢社会研究プロジェクト「首都圏2030」の研究マネージメントを行うなど、社会保障問題や投票行動分析に取り組む。『ネットビジネスの終わり』 (Voice select)、『情報革命バブルの崩壊 』(文春新書)など著書多数

男には“父親になるタイミング”がある

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川崎貴子さん。1972年生まれ。埼玉県出身。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。著書に『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、『私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)、『上司の頭はまる見え。』(サンマーク出版)がある。2014年より株式会社ninoya取締役を兼任し、ブログ「酒と泪と女と女」を執筆。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は2万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。10歳と3歳の娘を持つワーキングマザーでもある

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子供に必要なのは、家事に手間暇かけることではなく抱っこすること

ワークスタイルドラマ「声」、第5話「妻の言い分」

次回に続く(次回は3月31日の予定です)



文:荒濱一/写真:谷川真紀子/編集:小原弓佳


女たちは知らない、男の「働く以外の選択肢がない」苦しさ──小島慶子×主夫・堀込泰三
日本で子育てしにくいのは、子どもが「誰かの私物」だから──小島慶子×主夫・堀込泰三
すみません、育休前は「早く帰れて、楽でいいじゃん」って思ってました

「朝9時に出社」って実は楽?──働き方を選べる環境が、社員にとって優しくない理由

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多様性の考え方は、どうやったら身に着くもの? 前回に引き続き、「100人100通り」を掲げるサイボウズ社長の青野慶久に、東京農工大学リーディング大学院の学生さんたちが質問を投げかけました。多様性をどう教えるのか? 育休から戻った人に仕事はあるのか? 若者たちからの直球の問いかけに、青野社長が直球で答えます。

*この質疑応答は、東京農工大学リーディング大学院特任准教授・坂根シルックさんの依頼で行われた、青野社長講演会のあとに行われたものです。

多様性ばかり追求して、本当に会社は成り立つんですか? 大学生が「100人100通りの働き方」を掲げる社長に聞く

「あなたは、どうなりたい?」を考え続けてもらう

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「こうしなさい」とほかの人を縛りたくない

相手との関係性で見えてくるものもある

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サイボウズ社長、青野慶久。愛媛県生まれ。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、1994年パナソニック(旧松下電工)入社。1997年にサイボウズを起業し、2005年より代表取締役社長。育児休暇を3度取得。新刊『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)を発売した

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できる仕事=育休後に戻れる場所を増やしておく

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「真剣」になれることは探し続けなければならない

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「選択」できることが「責任」につながる

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坂根シルックさん。東京農工大学リーディング大学院特任准教授。文化人タレント、フィンランド語翻訳家・通訳。シルックさんがサイボウズのワークスタイルムービー「大丈夫」をテレビ番組で紹介したことから青野さんと交流が生まれた。

文:大塚玲子/写真:尾木 司


「転職したらいくらで給料を決める」は通過点──「働きたくなる会社」をサイボウズの人事制度から考えてみたら

ハッカーの遺言状──竹内郁雄の徒然苔第29回:え、私が防災?

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元祖ハッカー、竹内郁雄先生による書き下ろし連載の第29回。今回のお題は「え、私が防災?」。

ハッカーは、今際の際(いまわのきわ)に何を思うのか──。ハッカーが、ハッカー人生を振り返って思うことは、これからハッカーに少しでも近づこうとする人にとって、貴重な「道しるべ」になるはずです(これまでの連載一覧)。

文:竹内 郁雄
カバー写真: Goto Aki

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「研究者は自分の苦手なことを研究するものだ」という研究補償説がある。増井俊之さんは「苦手は研究の母」と書いていた。実は私は電通大時代の2002年ごろから2010年に東大を辞めるまで防災に関わるいくつかの研究プロジェクトに参画していた。私は防災が苦手というわけではないが、人に災いをもたらすようなことしかしてこなかったから、これはこれで、罪滅ぼしの意味での研究補償と言えるかもしれない。

思い起こすと1995年1月17日早朝(冬だから未明)に、あの阪神・淡路大震災が発生した。ちなみに「阪神・淡路大震災」は閣議決定された「震災名」であり、気象庁による地震の正式名称は「兵庫県南部地震」である。そういえば東日本大震災も、自然現象としての地震の名前は「東北地方太平洋沖地震」である。「震災」という名称は行政が被害対応を措置するために、その範囲を示すのに使われる名称のようである。「東日本大震災」という名称は被害対応の範囲が原発事故を含めて東日本全域に及んだからである。

最初から話が脱線するが、「東日本」の定義は何かを各種の統計情報をもとに複数の機械学習で調べ、機械学習法自体を評価したという発表が今年1月の情報処理学会プログラミングシンポジウムであった(※1)。例えば、長野県は東日本か、西日本か? この話の中で特異だったのは、ジュースも含め、ミカンを主に食べるのが西日本、グレープフルーツを主に食べるのが東日本という話だった。ただし、大きな例外が2つあり、兵庫県と福岡県はグレープフルーツのほうが多いとのことである(※2)。みんな、自分の出身地のことを思い出して、なるほどと頷いていた。

閑話休題。阪神・淡路大震災のとき、私はNTT研究所の所属だったが、当日の昼すぎに京都大学での講演を依頼されていた。朝8時すぎ、何も知らずに新幹線の東京駅の改札まで行ったら、手書きの掲示が1枚だけ。いわく「関西地方で大きな地震があり、現在新幹線は止まっています」。電光掲示板は消灯だったと思う。1995年というのはまだそういう時代だったのかとつくづく不思議に思うが、駅に行って情報がこれほど伝わってこないのも珍しい(※3)。しょうがないので、1時間ほどかけて武蔵野市の研究所に戻ってみたら、研究室の大画面テレビ(背面投影型)に神戸の悲惨な状況がリアルに実写されているではないか。なんと、地震発生から4時間以上何も知らなかったことになる。

さらに脱線するが、私が防災研究プロジェクトに参加して2年ほど経った2004年10月23日17時56分、茅場町のビル12階でその防災研究プロジェクトの会議をしていたとき、妙にゆーらゆーらした長い地震を感じた。会議には地震の専門家が多かったので「これは遠いところの非常に大きな地震だ、すぐテレビ!」となった。いまは多くの人が知っている長周期地震動である。これが新潟県中越地震だった。新潟県独自の命名だが、これには「新潟県中越大震災」という名前がついている。浦佐と長岡の間を時速200キロ超で走行していた上越新幹線「とき325号」が火花を散らしながら脱線停止したけれども、154名の乗客乗員に奇跡的に死傷者が出なかったことを記憶している方が多いと思う(※4)。

なんと、その日は高校同級生の毎年恒例のダラ旅行だった。すでに先発隊男女数名が中越の温泉に行っていて、私は会議の終了後すぐ新幹線で駆けつける手筈になっていた! 先発隊は帰るに帰れずひどい目にあった。私は雨男どころか、地震男なのかもしれない。

そういえば、2007年3月25日午前の能登半島地震のときも、私は大阪での仕事を頼まれていて、たまさか法事で逗留していた富山県の実家から日帰りで大阪に向かう途中、福井駅で長時間電車が止まってしまった。ちなみに東日本大震災のとき、私は自宅でエジプトでの講義資料の作成をしていた。強いけれどややゆっくりした揺れだった。門前の小僧ではないが、これはやはり200キロ以上離れたところで起こった大地震ということはすぐ分かった。あのとき生中継で見た津波の光景は忘れることができない。後に編集された映像ではカットされた場面が多いに違いない。大震災の被害者の方々の冥福を祈りたい。

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さて、その防災研究プロジェクトは、元はと言えば「2050年に自律ロボットのサッカーチームが人間の世界チャンピオンチームに勝つ」という、ちょっと荒唐無稽な目標を掲げたロボカップに関係している。ロボカップは1997年から正式に大会が始まったが、1995年の阪神・淡路大震災の経験から、災害救助のロボットと、被害を減らすための情報システムの構築を目的としたロボカップレスキューも2001年に正式競技として始まった。

私はNTTから電通大に移ったとき、ロボカップをロボット実機でやるのは無理にしても、学生諸君のソフトウェアの能力をもってすればシミュレーション競技だったら結構行けると踏んだ。ロボカップシミュレーションリーグへの参加を提案したら、多くの学生が乗ってくれた。実際、かなり早い段階で我がYowAIチームは国内で頭角を現すことができた。

このとき2年前の大震災の経験から、ロボカップレスキューのアイデアが出、いつの間にかうちの研究室がそのシミュレーションシステム・カーネル(※5)を開発することになった。小藤哲彦君がほんとにあっという間に拡張性の高いシステム開発をしてくれた。しばらくの間、このシステムが世界大会の基礎となった。そのおまけと言っては何だが、やはりうちの学生だった森本武資君が世界大会でYabAIというレスキューチームで優勝するという成績を修めた。何だかインサイダー取引のように見えるかもしれないが、システム開発とは独立に行った、マルチエージェントシステムによる最適解探求のしっかりしたプログラミングの賜物である。

ロボカップレスキューシミュレーションでは、地震に襲われた市街のマップ上に、建物の倒壊状況、道路の閉塞状況、火災の発生・延焼状況、人の埋没状況のほか、災害対応の活動状況が多数のエージェントの活動として時間進行に応じて表示される。つまり、重機による道路閉塞の解除(道路啓開と呼ぶ)、埋没した人の掘り起こし救助、消防活動が画面上に動画で表示される(図1)。

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図1:初期のロボカップレスキューシミュレーションの画面に解説を付けたもの。地図は最も被害が大きかった神戸市長田区の震災前のものである。競技ではこのほかにもいろいろな場所の地図が使われる。多数の災害対応エージェントをそれぞれどう制御するかがマルチエージェントプログラミングの腕の見せどころになる。シミュレーション自体も、いろいろな要素シミュレーションを統合したものになる。この地図の上で実際にエージェントが動いている様子は、かなり昔のものだがYou Tubeの映像で見ることができる(神戸大学のチームのもの。この映像では道路啓開隊は黄色ではなく青で表現されている)。

もちろんエージェントは遠くが見えない。少し離れたエージェント同士は、組織が異なるとお互いに直接交信はできず、本部経由となり、そもそも災害時なので通信自体が制限される。だから、現場のエージェントの自主的判断が重要になる。同時多発大災害のときは、実際の運用もそうなるとのことである。

シミュレーションなので、あくまでも画面上で出来事が進行していくのだが、このシステムを住民たちが住む実際の町の地図の上で動かすと、見せられた住民たちの防災意識が一挙に高まるという効果がある。

どの自治体も災害に備えていろいろな防災訓練を行う。こういうシミュレーションはそのために確実に役立つ。また、実際に災害が起こった場合に、災害対策本部が災害の進行を予測し、それに対して先手を打つという、まさに実時間システム的な使い方も可能になるはずだ。ところで、「防災」という言葉は、災害が起こりにくいように予め準備しておくことを意味する。これに対して、起こってしまった災害の被害を最小にする努力のことを「減災」という。これも現実的にはとても重要で、実時間シミュレーションに出番がある。「減災」という言葉は日本語としてまだ定着していないが、少なくとも研究課題について話すときは「防災」と区別する必要がある。ちなみに「防災」はdisaster prevention、「減災」はdisaster mitigationである。

このような有用性が見込まれて、総合的な「減災シミュレータ」(研究室で開発したレスキューシミュレータの枠組みを発展させたもの)を開発するプロジェクトが、文部科学省の「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」(略称、大大特)に組み込まれることになったのである。大大特は非常に大きな予算規模のプロジェクトで、5年間で総額130億円ほどだったのではないかと思う。減災シミュレータに関わる予算は年に2、3億ほどだったが、被害シミュレータも含めて、「震災総合シミュレーションシステム」(IDSS=Integrated Disaster Simulation System)と命名された。

と、口で言うのはやさしいが、ここまで来ると全国のたくさんの防災関係の組織や研究機関が持っていた、あるいは開発中の各種のシミュレータを統合するという、実はとんでもなく難しい問題なのであった。ロボカップレスキューシミュレーションのように、最初からそのつもりで作っていないからだ。役所や会社のあちこちでバラバラに開発されたソフトウェアを、はい、これからひとつのシステムとして統合します、よろしく、と言われたようなものだ。データ共有のための基本的な仕組みがそもそも存在しない、それ以前に、各組織の人たちの意識というかベクトルが異なる。

ちなみに、震災総合シミュレーションシステムの研究の本部が、川崎の元日本鋼管の体育館に置かれた。正式名称は「(独)防災科学技術研究所 地震防災フロンティア研究センター 川崎ラボラトリー」である。災害救助ロボット開発の拠点もここだったので、あの東洋の魔女(※6)たちが汗を流した練習場が災害救助ロボット実験場になった。床を痛めるといけないので、ちゃんと養生したのはもちろんである。その作業をしているところがデジカメ写真に残っていた(写真1)。

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写真1:元日本鋼管(現在JFE)の体育館の床の養生作業。右のピカピカ物体は体育館の一部を屋内建物の事務所にしたときの壁。多分、今はもう撤去されているはず。一応私はこの事務所では副所長ということになっていた。この建物はGoogle Mapsを見るとThinkSpotKawasakiという名称で、定番ロケ地(?)として残っているようである。

図2に、統合シミュレーションシステムの計画概念図を示す。

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図2:震災総合シミュレーションシステムの概念図。左下にあるのは今日的にはGISと呼ばれているものに、自治体が持っているいろいろな地域・行政情報を統合したものである。日常業務のために独立している個別システムが非常時には突然つながるという仕掛けになっている。こういうものがどこの自治体にもちゃんと備わっていれば苦労しない。

これだけ見ても大変そうということが理解していただけるかと思う。災害予測・対応シミュレータ群に「のりしろ処理」といった言葉が書いてあるが、これは大きな地図を地域分散してシミュレーションする分散システムを意図していたからである。実際、このために50台程度のPCクラスタを作ってシステム開発を進めた。

現場優先の方々は、現場で即役立つ路地裏直結的な活動を進めたいので、絵空事のようなシミュレーションシステムにはそもそもあまり興味がない。本当にひどい災害が起こったら、そもそもシミュレーションシステムそのものが(多分電源断や建物被害で)動かないし、情報の収集・広報もままならないというのが、現場優先の方々の考えだ。でもこれまで何回も起こった震災の経験と、モバイル技術の発達で、少しずつ状況は改善されてきている。少しずつかもしれないが……。

一方、技術者の挑戦課題である「絵空事のシミュレーション」のほうも、簡単に一筋縄ではまとまらない。そもそも、シミュレーションで何を明らかにしたいのか、やはり各人で微妙な温度差がある。例えば、シミュレーションの粒度ひとつとっても数々のトレードオフ問題に悩まされる。思いきりマクロにして、はい、この市町村はハザードマップ計算に基づいて、大体これくらいの被害(死傷者、建物損壊)が出る、そうした上で重点地区に災害対応部隊を派遣する、という考えもあれば、いや一人一人の行動を(一人一人の視野、情報環境に応じて)完全にシミュレーションして、その結果を任意の粒度で情報集約するべきだという考えもある。その一人一人にしても時間の解像度をどうするのか、10秒なのか、1分なのか、5分なのか……。ともかく細粒度にすればするほど計算資源がいくらあっても足りないし、並列・分散計算のオーバヘッドが出てくる。

ちょっと細かい話になるが、人は道路に沿って動くから、人の移動は道路ネットワークのモデル化をベースにすればいい、いや、広場のようなものがあるのでそこでは面としてのシミュレーションをしないといけない、などなど、議論が尽きないのである。だから、時間粒度や空間粒度の異なるシミュレータを接続・統合すべきということにもなる。実際、通常の地図に見える世界と、シミュレーション世界としてはほぼ別物の地下街、建物内部などは階段やドアなどで接合し、そこを通じて人や物が出入りする。

地震による個々の建物の倒壊は、実は地方自治体の不動産台帳を参照すれば、震度に応じて割と正確に計算できる。実時間シミュレーションではないが、細粒度ハザードマップとして予め作成できる。しかし、地震で簡単に倒れるブロック塀なのかそうでないのかまではなかなか分からない。要するにちゃんとやろうとすると個人情報(個人の資産情報)の領域に踏み込むことになる。高齢者の一人住まいの情報を共有して被害を減らそうという運動があるが、このあたりが公的にはぎりぎりのところか。

地震動による被害はほぼ一瞬だが、そのあとの津波、危険物質の拡散、火災発生・延焼となると、避難も含む災害対応活動とともに時系列が絡むシミュレーションになる。これもやさしくない。津波は波の高さというか、波の大きさが分かれば地形情報を使っていつごろどこまでが暴力的に浸水されるかを物理学的に計算できるだろう。最近よくテレビに出てこられる群馬大学の片田敏孝教授が開発した三重県某市の津波シミュレーションは、避難を呼びかけて巡回する市の広報車が津波にやられてしまうというインパクトのあるものだった。

火災発生・延焼シミュレーションも細かいことを言いだすときりがない。これも不動産台帳に基づいて木造と鉄筋コンクリートの区別や、建物間の距離を計算しなければ正確さは期待できない。消防大学校消防研究センターのシミュレーションは火災延焼グラフのようなものがあって、風向きがこちらなら、この建物の次はあの建物が燃えるというリンクが予め張られていて、なるほど、これなら計算の省力化ができると思ったものだ。専門性のある研究所なので信頼性は高い。こういうのもシステムに統合しないといけない。といっても、プログラミング言語はもちろん、地図のデータ構造も違うし、時間解像度も違う。シミュレーション統合というからには、マルチエージェント・シミュレーションとしての消火活動を、時間軸を合わせて反映させないといけない。片方のシミュレーションを妨害するもうひとつのシミュレーションが走る! 問題の難しさがお分かりいただけただろうか。

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何しろ震災総合シミュレーションだけで数十名の人が関係したのだから、それらの人々の意識を統合するだけでも大変だった。とはいえ、統合まではいかないにしろ、いろいろなシミュレータが開発され、それぞれがインパクトのある知見をもたらしたし、次につながる成果にもなった。やってみるものだ。

上にも書いたが、成果の現場展開の可能性を確かめるために、防災・減災に関心のあるいくつかの市町村に出かけた。その地区の地図で火災延焼シミュレータを動かして、住民による初期消火がいかに重要かを示すと、地元の消防団の人たちは、分かっていることとはいえ、やはり納得の度合いが違うようだった(写真2)。

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写真2:岩手県瀧澤村の消防団研修での火災延焼シミュレーションのデモ風景。自分たちの居住地の地図だけあって、見入る姿勢が違う。左の半白髪後ろ姿は私。

大大特は5年間の大きなプロジェクトだったが、災害大国日本にとって、減災が重要な課題であることは間違いなく、それとオーバーラップしつつ、別の名前のプロジェクトが、学生諸君の努力の甲斐もあり、3つも続いた。図2を見て想像できるような、あまりにも大変なシミュレーション統合よりも、自治体の防災担当者が真に欲しているようなシステムを御用聞きしながら開発を進めていくことになった。実際、後続プロジェクトでもいくつかの地方自治体に出かけてデモをしたが、こちらのほうが自治体職員や住民たちと密接にコンタクトすることができて反響が大きかった。ここで重要になったキーワードは「情報共有」である。これについてはまた別途書きたい(※7)。大大特の震災総合シミュレーションシステムの研究ではその後につながる多くの副産物的な成果は得られたものの、やはり最初からあまり高望みしてはいけないという教訓が得られたと思う。(つづく)


※1:日本の東西分割を通じた機械学習手法の評価、宮野祐輔、崔誠云、疋田敏朗、小林良輔、鈴木宏哉、山口利恵(東京大学)、第57回プログラミングシンポジウム、情報処理学会、2016年1月。
※2:私の記憶違いの可能性がある。見返したら論文にはその記述がなかった。口頭発表だけの情報だったようだ。
※3:1995年は携帯電話が普及期に入ったころであるが、多分私はその年の後半にPHSに加入したような記憶がある。
※4:気象庁の正規の震度計で震度7を記録した最初の例だそうである。阪神・淡路の震度7は推測値とのこと。
※5:災害進行のシミュレーションと多数の防災エージェントプログラム、つまりレスキューチームの動作をまとめて制御するプログラム。シミュレーションのOSのような働きをするのでカーネルと呼ぶ。現在はロボカップレスキューシミュレーション・インフラストラクチャと呼ばれている。
※6:1964年の東京オリンピックで金メダルを獲得した女子バレーの選手たちのこと。若い人はご存知ないでしょうね。
※7:遺言状で次回以降を予告するのは定義矛盾のような気がするのだが。


竹内先生への質問や相談を広く受け付けますので、編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)


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それでも結婚し、子どもを持つ意義はどこにある?──山本一郎×川崎貴子

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山本一郎さんと川崎貴子さんのお二人が、サイボウズのワークスタイルドラマ「声」を観て、子育てや家庭を巡る環境について語る対談の後編をお届けします。前編で、今の日本では極めて「きわどい」家庭が増えているという認識で一致した両者。

後編ではそのきわどさをどのように乗り越え、家族を再生するべきなのかということに話を進めていきます。そして、育児や介護など様々な困難や悩みが生じる中でも、今の日本で結婚し、子どもを持ち育てることの意義や意味はいったいどこにあるのか? お二人と一緒に考えてみましょう。

社長と副社長が無視しあっている会社って、普通に考えてヤバい

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介護は死んでいく人のために、自分が折り合いをつけるためのもの

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山本一郎さん。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる。統計処理を用いた投資システム構築や社会調査を専門とし、株式会社データビークル取締役、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員、東北楽天ゴールデンイーグルス育成・故障データアドバイザーなど現任。統計分析や数理モデルを用いた未来予測、効果分析を専門とする。東京大学と慶應義塾大学とで組成される「政策シンクネット」の高齢社会研究プロジェクト「首都圏2030」の研究マネージメントを行うなど、社会保障問題や投票行動分析に取り組む。『ネットビジネスの終わり』 (Voice select)、『情報革命バブルの崩壊 』(文春新書)など著書多数

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川崎貴子さん。1972年生まれ。埼玉県出身。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。著書に『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、『私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)、『上司の頭はまる見え。』(サンマーク出版)がある。2014年より株式会社ninoya取締役を兼任し、ブログ「酒と泪と女と女」を執筆。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は2万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。10歳と3歳の娘を持つワーキングマザーでもある

子育てのつらさは一時期、借金してでも使えるものはなんでも使う

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「働くパパ」に焦点をあてたワークスタイルドラマ「声」。主人公は、東京の会社でエンジニアとして働く片岡(田中圭さん)。妻・亜紀子(山田キヌヲさん)との気持ちのすれ違いや、親の看病のために会社を辞めて帰郷した先輩・森嶋(オダギリジョーさん)とのやりとりを通し、いま、共働きで子育てする夫婦を取り巻く環境や困難をリアルに描く



文:荒濱一/写真:谷川真紀子/編集:小原弓佳


「料理は手作りこそが愛情」という同調圧力が、日本の子育てをつらくする──山本一郎×川崎貴子
夫の残業代のかわりに何を「手に入れた」と思えるか、夫婦生活はいいとこ取りできない──小島慶子×主夫・堀込泰三
ずっと仲のよいカップルでいたい時、必要なのは「女子力」じゃない

「東京なんか来なければよかった」と後悔しないために──秋田出身の私が地方就活生に伝えたいこと

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「就職を機に地元を出て、東京で働いてみようか」

地方出身で就職活動をする学生の多くは、1度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。人生の節目ともいえる意思決定を前に、地方就活生が納得のいくキャリアを選択するにはどうすればいいでしょうか。

就職活動をしている地方学生向けの「就活シェアハウス」を運営し、日々多くの地方就活生と接する伊藤豪さんに「地元・東京のどちらにいても、納得感のあるキャリアを形成する考え方」を伺いました。

就活で悩む「地方都市」、悩めない「地方地方」

「就活熱」が冷めて、初めて気がつく本当の自分

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伊藤豪(いとう たけし)さん。秋田県出身。新潟大学理学部数学科を2013年に卒業。新卒としてコカ・コーライーストジャパンに入社後、1年間で独立のため同社を退職。現在は、株式会社地方のミカタ 最高執行責任者。地方学生のための「就活シェアハウス」の運営などを行い、年間1000人以上の学生と接する

キャリアの納得感は、「どこで働くか」だけでなく「家族とのかかわり方」も影響

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地方のミカタ運営の就活カフェで学生と語る伊藤さん

編集:椛島詩央里/写真:尾木司

デジタルツールだけでチームの生産性が上がると思い込んでいませんか?

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チームが大きくなればなるほど難しくなる「チームビルディング」。効率的に業務を進められるツールはたくさんありますが、ツールだけで本当にチームは結びつくのか。そんな疑問を抱えたサイボウズ式編集部がたずねたのは、コクヨ株式会社の山崎篤さん。

「CamiApp」の開発を指揮した山崎さんは、デジタルツールをバリバリ使って仕事をこなします。一方チームリーダとしてメンバーと接するときは、アナログな手段での感情共有を大切にしています。感情を共有するチームビルディングの勘所を聞きました。

(1)感情を働かせる「チームのルール」があるか

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山崎篤さん。1973年生まれ。文具メーカーコクヨ株式会社でIT系ビジネス企画を推進。クラウド伝票サービス「@Tovas」で、2009年ASP・SaaSアワード 総合グランプリ受賞。2011年スマホノート「CamiApp」企画リリース。NPO法人ASP・SaaS・クラウドコンソーシアム理事、MIJSコンソーシアム副委員長、ソーシャルおじさんズ25号としても活動中。

(2)社内で「なんとなく集まれる場所」があるか

(3)社内外メンバーと一体感を生むツールがあるか

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社内のコミュニケーションに使われているタブレットタイムレコーダー

(4)「誰でも手を挙げられる場」があるか

(5)「相手のために」という心構えがあるか

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文:岡山史興/写真:尾木司


仕事の「しくじり」は悪ではなく、ヒントの宝庫

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サイボウズ式編集部より:著名ブロガーを招いて、チームワークや働き方に関するコラムを執筆いただく「ブロガーズ・コラム」。今回は、はせおやさいさんが考える「より正確性の高い仕事をするためのヒントを生かす、リーダーのチーム作り」について。

リーダーの役割ってなんだろう?

こんにちは、はせおやさいです。
新しい季節、異動などでチームやプロジェクトのリーダーになる人も多いのではないでしょうか。

いざリーダーになってみて改めて思うのは、「リーダーの役割ってなんだろう?」ということ。わたしが教えてもらったのは「マネジャーの役割は、部下の給料をあげること。リーダーの役割は、与えられた目標を達成すること」でした。

マネジャーはマネジメントをする際、それぞれのメンバーが正しく成果を出し、出した成果をもとに上司に掛け合い、給料や待遇を改善できてこそ役割を果たし、リーダーは与えられたチームの目標を正しく把握し、達成に導いたときこそ役割を果たしたといえます。

では、その「目標の達成」に至る道で、リーダーにできることは何でしょう?

今回は「リーダーはチームに『安心して活躍できる環境を作る』ことが仕事」と定義して考えてみたいと思います。

安心して活躍できる環境、を考えたときに、どんな状態を連想しますか? 雇用が保証されている、福利厚生が整っている、など待遇面でも「安心」を整備できるかとは思いますが、「チームのリーダー」ができることは何か。

それは、働く上での精神的なセーフティネットを用意することではないかと思います。

「しくじり」っていいこと?悪いこと?

某人気バラエティ番組のコンセプトにあるように、「しくじった人から『しくじりの回避法』を学ぼう!」というのは、非常に有効な手段だと思います。成功にはさまざまな要素や偶然が必要ですが、失敗するときというのは、得てして理由が明確です。ただその渦中にいる場合は、失敗に向かっていることになかなか気付くことができないから、人は失敗するのではないかと思います。

そして、大きく「しくじる」前に小さく「しくじること」が、結果として大きな事故を未然に防ぐ、という考え方があります。

「ヒヤリ・ハット事例」という言葉をご存知でしょうか。結果的には大事故に至らなかったものの、直結してもおかしくなかった小さな事故事例のことを指します。製造や医療の現場でよく使われているようですが、これは「ハインリッヒの法則」としても知られ、労働災害における経験則の1つ。

1つの大事故の裏側には29の小さな事故があり、そのさらに裏側には300の異常がある。その300の異常を「ヒヤリ・ハット」と呼ぶそうです。「ヒヤリとした」「ハッとした」事例からきている、とのことなのですが、こういう状況、誰もが1度は経験したことがあるのではないでしょうか。

「ああ、危なかった。しくじったけど、大事になる前に気付けたから良かった」

という事象は、ともすれば隠蔽されがちです。自分のミスとしてカウントされてしまうと能力がないと思われる、立場が悪くなる。そんな思考回路もあるかもしれません。

ただし、自分がミスをした事象は、同じ人間である以上、多くの人も「しくじる」可能性が高い。どんなに優秀な人だって、二日酔いや徹夜明け、体調が悪かったり、恋人と喧嘩して気分が落ち込んでいたり、正常でない瞬間にこの落とし穴に落ちてしまう可能性があるわけで、あらかじめ落ちそうな小さな穴を共有しておくことが重要。

そのために、「こういう小さなしくじりをして、こうリカバリをしたのでことなきを得た」という情報共有の蓄積は、チームにとって何よりの財産になるのではないかと思います。

「しくじってもOK!」とリーダーから明言しよう

前述のようなことを問いても、すぐに「そうか!じゃあ失敗はバンバン共有しよう!」と思える人は、あまり多くありません。子ども時代から染み付いた「失敗したら怒られる」「間違えたらバカだと思われる」という思考のクセは、なかなか抜けないからです。そういう思考のクセから自由な人もいるのですが、非常にまれです。

そのためにも、チームのリーダーになった人が積極的に失敗を共有し、自分もただの人間で、間違えることもある。その間違いをみんなで共有することで、たくさんの「For Example」を蓄積して、同じ轍を踏まないよう、みんなで知見をためていこうと表明する。それがメンバーからの告白をうながし、より多くの未然防止策を引き出す結果になるのではないかと思います。

リーダーの役割は、与えられた目標を達成すること。

達成のためにはプラス・オンの行動も重要ですが、失敗を未然に防ぎ、起きてしまうトラブルを最小にとどめることも必要です。そして失敗のユースケースは1人の頭で考えられるには上限があります。なぜなら失敗には必ず理由がありますが、その理由は、経験してはじめて顕在化してくるからです。

さいごに

失敗の共有について書いてきましたが、その中でも特に大切なのは「明文化して残すこと」だと思っています。明文化して残すことで「なぜ」が明確になり、「どうやって」を考えるための情報を洗い出しやすくなるからです。

「しくじり」が嫌われるのは、未来につながらないから。確かに前に進もうとする人にとって「しくじり」は後退のようにも見えますが、それがもっと先の未来のためのハウ・ツーになるなら、チームにとってかけがえのない財産になるのではと思います。

失敗は、必ず明文化しておきましょう。そしてほかの人がいつでも参照できる状態にしておきましょう。さらに、メンバーにもその文化を浸透させましょう。どんな情報共有ツールを使っても構いません。

メンバーは自分がしてしまった「しくじり」に対し、「なぜ」までは分かったけれど、「どうやって」防ぐかがわからないことが多い。わかっていれば、しくじらないからです。そういうときは、いっしょに考え、自分の経験をもとにアドバイスを与えてください。自分でも分からなければ、メンバーといっしょに誰かに相談したり、アイデアを出しあいましょう。

「しくじり」は悪ではなく、より正確性の高い仕事をするための、ヒントの宝庫です。そのためにも、自分から積極的に「しくじり」を開示し、明文化して残し、「こうやって書けばいいんだ」「しくじってもいいんだ」を見せていくことは、リーダーの重要な役割の1つではないかと思います。

ぜひ、実践してみてください。

今日はそんな感じです。
チャオ!

イラスト:マツナガエイコ

いつでも炭酸生活、「SodaStream」を導入──コデラ総研 家庭部(61)

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テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第61回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「いつでも炭酸生活、『SodaStream』を導入」。

文・写真:小寺 信良

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皆さんは炭酸飲料はお好きだろうか。夏場には喉が渇いたらコーラやサイダーといった炭酸飲料を飲む人は多いと思うが、日常的な飲料として炭酸水を愛飲している人もいる。筆者もその一人である。

以前はハイボールを作るために炭酸水をまとめて2、3本買っていたのだが、そのうち炭酸水だけ飲んでも、アルコールを飲んでるような気になってきた。最近ちょっとアルコールを飲みすぎてるなと思うときには、晩酌は炭酸水で済ませることも多くなった。

そうなってくると、次第に日常的に飲む飲料までも炭酸水になってくる。以前はコーラなども飲んでいたのだが、すっかりジュース類は買わなくなってしまった。こんな調子では、スーパーに行くたびに数本買う程度では当然間に合わない。Amazonの定期便を使って、1箱24本のウィルキンソンを毎月購入するようになって、1年あまりが経過する。

確かに買いに行く手間はなくなったのだが、年間で2万5000円ほどかかることになる。またゴミとしてのペットボトルの量が、ものすごいことになる。流石にこれは何とかしないと、と考えていた矢先、友人からいいものを教えてもらった。自分で好きな濃度の炭酸水が作れるキット、「SodaStream」である。Amazonでスターターキットが1万円で買えるというので、さっそく購入してみた(写真1)。

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写真1:1万円程度で手に入るSodaStream

キットは、ソーダメーカー、炭酸ガスシリンダー、専用ペットボトルとなっている。オマケで専用のオレンジシロップが付いてきた。

ガスシリンダーは1本で約60L分の炭酸水が作れるという。500mLの炭酸水に換算すると、120本分だ。ウィルキンソンの箱に換算すると、5箱分。ガスシリンダーはリサイクル式になっていて、使い終わったものと交換で新しいものが2160円で購入できる。コスト的にもかなりお得だ。

簡単に、自由な強さで

SodaStreamは危険なものではないが、実際には相当高い圧力を扱うことになるため、説明書をよく読んで使用することをお勧めする。消耗品は、炭酸水を作る専用のペットボトルだ。通常の炭酸飲料用とは違ってかなり厚手に作られているが、寿命としておよそ3年が指定されている。使用期限が記されているので、よく確認したほうがいいだろう。

ソーダメーカーの背後からガスシリンダーをセットし、手前のネジ穴に水を入れたペットボトルを装着する。上部のボタンを押すと、パイプを通じてペットボトル内に炭酸が注入される。圧力限界まで注入するとブザーのような音がするので、ペットボトルを手前に引いて減圧。これを3回ほど繰り返すと、標準的な炭酸水ができる(写真2)。

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写真2:背面に炭酸ガスシリンダーをセット

ペットボトルと水は、あらかじめ冷やしておいたほうが良い。低温のほうが、炭酸がより溶けやすいため、強炭酸水が作りやすくなる。またボタンを押す回数を増やせば、それだけ強炭酸水ができることになる。

そのまま飲めば普通の炭酸水だが、オマケのオレンジシロップを入れると、ファンタオレンジのような味になる。オマケシロップは、イチゴやレモンなど、購入時期によっていろいろ変わるようだ。

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写真3:オマケで付いてきたオレンジシロップ

普段は1日で500mLぐらいしか飲まないのだが、オレンジシロップ入りだと1Lぐらいは飲める。もっとも最後のほうは気の抜けたファンタのような感じになってしまうが、それもまたよしとしたい。

先日の日曜日、公園で仲間と花見をしたのだが、そのときに友人がSodaStreamを持参してきており、その場でハイボールを作ってくれた。最小限の装備で、水さえあればいくらでも炭酸水ができるというのは、画期的である。

単に飲むだけではなく、強炭酸水の中にフルーツを漬け込むという使い方もあるようだ。炭酸濃度が自由に調整できるからできるアレンジである。子供も喜びそうだし、今週末にでも挑戦してみたいと思っている。(つづく)


本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、取り上げてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)


この記事を、以下のライセンスで提供します:CC BY-SA
これ以外のライセンスをご希望の場合は、お問い合わせください。

「働きがいより個人の生きがい」を大事にする会社の方が、イノベーションは起きやすいのか?

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DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)とサイボウズ式で考える「働きたくなる会社」──。日本企業の未来について、サイボウズをモデルケースに議論をします。 

DHBRの第2回討論会では「多様性」や「いい会社」についての議論が起こり、「働き方を多様化することで、世界一のグループウェアを生み出せますか?」という新たな議題が浮かびました。

このテーマについて、サイボウズ社内でディスカッションを実施。副社長の山田理、事業支援本部長の中根弓佳、コーポレートブランディング部長の大槻幸夫が話します。モデレーターは、サイボウズ式編集長の藤村能光。

サイボウズのグループウェアというサービス自体が、競争力があるかが疑問です。組織としてはすごくいい状態かもしれないけど、これから本当に市場で生き残れるのか。
「改善」には賛成意見しか出ないけれど、「イノベーション」は賛否両論が分かれます。つまり摩擦が発生するということ。サイボウズに摩擦があるのかどうか?

「働き方の多様化で世界一のグループウェアは生み出せるか?」「知らんがな(笑)」

多様化において「個人の価値観のマネジメント」が一番大変

「いい会社」にしたくて、社員が徹底的に働きやすい環境を作ってみた

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山田理:サイボウズ株式会社 取締役副社長 兼 サイボウズUS社長。「kintone」をグローバル展開中

「いい人」が多い会社は、本当に「いい会社」といえるのか?

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中根弓佳:サイボウズ株式会社 執行役員 事業支援本部長

いい会社であり続けるために、理想への熱い共感を求め続ける

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働きがいだけでなく生きがいも追求できれば、会社もチームもよくなっていく

イノベーション自体を求めるよりも大切なこととは

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大槻幸夫:サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長 兼 サイボウズLive プロダクトマネージャー

ハーバード・ビジネス・レビュー読者への質問

なぜサイボウズにイノベーションや成長を求めるのですか?

この議題を、ハーバード・ビジネス・レビュー読者はどう議論を深めていくか? 続きは「読者と考える「働きたくなる会社」とは」のサイトで、3月の4週目に公開予定です。

編集:藤村 能光・阿部 光博/写真:山下亮一


「転職したらいくらで給料を決める」は通過点──「働きたくなる会社」をサイボウズの人事制度から考えてみたら
ハーバード・ビジネス・レビュー編集長は「働きたくなる会社」をどう考えているか

女性に「活躍して」というのなら、妊娠・出産の重さに理解を──いまどき40男の問題意識

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40男たち

左から「男性学」を研究する武蔵大学 社会学部 助教 田中俊之さん、産前産後の家事サポート会社アイナロハ代表の渡辺大地さん、2015年に中途入社したサイボウズ株式会社 ダイレクトマーケティング部 副部長 倉林一範

「女性に活躍して下さいというのなら、妊娠・出産の重さを理解できないと」。そう語るのは、著書『<40男>はなぜ嫌われるか』で、中年男性に対し清々しいおじさんになることを提唱している「男性学」研究者の田中俊之さんは40歳。同じく40歳で働き方を見直しサイボウズに転職した社員 倉林一範、35歳の『産後が始まった』著者でアイナロハ代表 渡辺大地さん、彼らは、妻に寄り添える<40男>。 昭和と平成の狭間に育ち、旧来型の性別役割分業意識から脱却しつつある彼らが前回に続き、夫婦の関係維持の工夫や、妊娠・出産がハンディになる社会の変え方、中年以降の人生をいかに生き、どう社会に関わるかなど、「40男」の本音や可能性を語ります。

夫婦の関係を長く良好にする工夫

倉林さん

倉林一範 サイボウズ株式会社 ダイレクトマーケティング部副部長。1975年生まれ。アクセンチュア時代に半年間、育児休業を取得。働き方を見直し「子ども食堂」など地域活動にも取り組む。2015年7月にサイボウズに転職。3児の父。

渡辺大地

渡辺大地さん アイナロハ代表取締役 ままのわ産後パートナーズ代表取締役 1980年、北海道札幌市生まれ。明治大学法学部卒業後専門学校で油絵を学ぶ。就職ののち、2007年に結婚。2011年に株式会社アイナロハを設立。2015年12月、株式会社ままのわ産後パートナーズの代表に就任。著書に『産後が始まった!』(KADOKAWAメディアファクトリー)など。2児の父。妻が3人目を妊娠中。

僕のせいでこの人は今つわりになっている

40男たち

田中俊之さん 武蔵大学人文学部社会学科卒業、同大学大学院博士課程単位取得退学。博士(社会学)。1975年生まれ。2013年より武蔵大学社会学部助教。社会学・男性学・キャリア教育論を主な研究分野とする。男性学の視点から男性の生き方の見直しをすすめる論客としてメディアでも活躍。著書に『男が働かない、いいじゃないか!』 (講談社+α新書)『<40男>はなぜ嫌われるか』(イースト・プレス)などがある。2016年1月に長男が誕生。1児の父。

人間は、妊娠・出産が重すぎる

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育休は「取ってよかった」と思いますけど

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他人事ではなく当事者として「どう自分を変えていくか」

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中年が自覚を持って社会を変えていく

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文:渡辺清美/写真:尾木司


育休中もスーツを着る<40男>──昭和と平成の「男らしさ」の狭間に生きる

【ドッキリ企画】夫の結婚生活本音トーク、実は妻がすべて聞いていたら……?

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保育園の待機児童問題をどうにかクリアして、受け入れ先が決まった夫婦。
ようやく働けるかと思ったら、今度は朝早くから準備して子どもを預けたり、仕事はまだ途中のまま保育園まで迎えに行ったり、とにかく忙しい日々が始まります。

仕事に家事に育児にと、繁忙を極めて体力は消耗していくばかりですが、そんな状況の子持ち家庭って、きちんと夫婦で会話する時間を取れるものなんでしょうか? もうどんどん冷めていったりしちゃうんじゃないの……??

この疑問を解決するために、今回は「あるドッキリ企画」で、子持ち家庭の夫婦がきちんとコミュニケーションを取れているのか探ってみることにしました!

ドッキリをしかけて夫婦の本音を探る!

子持ち夫婦が普段どのくらい本音のコミュニケーションをできているか調べるために、今回は共働きの子持ち夫婦3組に、「夫婦間コミュニケーションについての調査をするから、モニターとして参加してほしい」と声をかけました。

また、このとき「夫婦は別々に取材をするので、お互いに話した内容が伝わることはありません」と伝えたうえで、それぞれ別室に集まってもらいます。


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しかし実際は、旦那さんの部屋にはマイク付のカメラ が設置されていて、別室にいる奥さんたちが一部始終、その様子を見ています。

この状況で旦那さんに「奥さんとコミュニケーションは取れていますか?」などの質問をして本音を引き出した後、奥さんが登場してタネ明かし。その後は、夫婦で改めて本音トークをしてもらいます。

※もちろん、奥さんには事前にタネ明かしをしています。


ハラハラしながら聞く、旦那さんたちの本音

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ドッキリ企画当日。

「夫婦別々の調査」と認識して参加した旦那さんたちは、「みんな似たような苦労を味わっている」という共通認識があるせいか、和やかな雰囲気で調査の開始を待ちます。


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一方、奥さんたちは別フロアで旦那さんたちのことを見守ります。

心なしか、すでにちょっと心配そうな表情……。


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そんな奥さんたちの心配をよそに、取材はスタート。

まずはサイボウズが制作したワークスタイルドラマ『声』の4~6話を鑑賞してもらいます。多忙のあまりコミュニケーションを疎かにしていた夫婦が、改めてお互いの本音と向き合うまでの過程を描いた作品、旦那さんたちにはどのように映るのでしょうか……。


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奥さんたちにも、同様の内容を鑑賞してもらっています。
夫婦ともに、自分事のように捉えてもらえている様子。

静かに時間が過ぎます……。


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ドラマを見終えると、さっそく旦那さんたちへの取材を開始します。

まずはヘアメイクやカメラマンのマネジメントをしている清水さんから。
今年の4月から保育園に入園する長男くんと奥さんと3人暮らしをしている清水さん。平日の平均退社時間は21時ごろとのこと。

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画面を見ながら独り言のようにつぶやく奥さん。
旦那さんが良かれと思ってとった行動も、奥さんには違うかたちで伝わることがあるようですね……。


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続いて教育系のIT企業でデザイナーとして働く石渡さんにお話を伺います。
3歳と0歳の男の子2人の父となる石渡さんも、平日の平均帰宅時間は23時ごろとだいぶ遅め。

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モニター越しに手厳しい意見が飛び出す奥さんたち。
このあと対面したとき、ケンカにならないといいのですが……。


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最後は会計事務所を経営されている平野さん。
奥さんとそれぞれ会計事務所を経営しながら、8カ月のお子さんを育てています。平均帰宅時間は18時ごろと早いですが、経営側の立場から育児休暇も短時間勤務も存在しない状況で子育てをしているとのこと。

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「旦那さんが『家事や育児を100%がんばっているぞ!』と思っていることも、女性にとっては80%くらいなんだよね(笑)」という話で盛り上がる奥さんサイド。
画面越しの旦那さんを見て、さまざまな気持ちを持ったようです。


いよいよタネ明かし

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旦那さんたちへのヒアリングが一通り終わったところで、いよいよタネ明かしの瞬間が近づきます。

旦那さんたちに気付かれないように、そっと部屋に近づくご家族の皆さん。


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旦那さんたちはもちろん何も知らずにくつろいでいましたが、「ここからは、ゲストも参加します」というスタッフの一言に、「え……?」と硬直。


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普段は聞けない、夫婦の本音

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部屋が賑やかになったところで、ここからはご夫婦に質問していきます。
当然ながら、奥さんは旦那さんの本音を全て聞いているので、まずはその感想から聞いてみることに。


■清水さんご夫婦

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■石渡さんご夫婦

IMG_2173.jpg IMG_2176.jpg 平日遅くまで働いていたら、確かに疲れはピークですよね……。でも土日も含め、今後の課題は「育児」に絞られたようです。
「一緒にお風呂入るの、慣れると楽しいですよ!」と、ほかの旦那さんから励しの声がかかるシーンもありました。


■平野さんご夫婦

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立ち上げたばかりの会社で自分が責任者となると、家庭ばかりでいられないのは仕方ないことなのかもしれません。ただ、その中でもどうやって仕事と家庭のバランスを取るのかは今後を考える上でもとても重要。前向きに、そして真剣に検討していくようでした。

しかし、奥さんからは男性陣の心に刺さるこんな一言も。


もっともすぎる意見に、会場一同、ただただ頷く場面でした。
家庭こそ、他人と比較すべきものではないのかもしれません。

まとめ

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こうしてドッキリ企画は終了しました!

参加したご夫婦の話や、ドラマ『声』を見て思ったのは、たとえ日常的に会話の時間が取れている夫婦でも、改まった場がないと、その内側にある心の声にまでたどり着くのは難しいということ。

3組の家族は、それぞれ家庭の状況も環境も異なりました。旦那さんが家事や育児で協力できる範囲も異なれば、奥さんが旦那さんに望む内容もまたそれぞれです。つまり「理想の家庭像」も、その夫婦や家族によってまた異なるということ。

「夫婦で働く」という選択肢も、きっと「理想の家庭」を築くためのプロセスのひとつに過ぎないのでしょうが、そのプロセスの中で、お互いの気持ちがすれ違ってしまっては元も子もないことですよね。


160326_KS_00113.jpg お互い、仕事や家事で忙しい。

160326_KS_00103.jpg お互い、本当に疲れている。

IMG_2161.jpg そういった状況に立たされたときこそ、お互いの「声」に耳を澄ませることが大切なのではないでしょうか。


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ちょっと緊張しながらも、まるで初めて打ち明けるように本音を伝え合うご夫婦を見て、それを実感することとなりました。

ご協力いただいたご夫婦の皆さん、本当にありがとうございました!



今回夫婦に見ていただいた「働くパパ」に焦点をあてたワークスタイルドラマ「声」。主人公は、東京の会社でエンジニアとして働く片岡(田中圭さん)。妻・亜紀子(山田キヌヲさん)との気持ちのすれ違いや、親の看病のために会社を辞めて帰郷した先輩・森嶋(オダギリジョーさん)とのやりとりを通し、いま、共働きで子育てする夫婦を取り巻く環境や困難をリアルに描く


文:カツセマサヒコ(プレスラボ)/写真:安井信介、関口佳代/企画:小原弓佳


女たちは知らない、男の「働く以外の選択肢がない」苦しさ──小島慶子×主夫・堀込泰三
すみません、育休前は「早く帰れて、楽でいいじゃん」って思ってました
「料理は手作りこそが愛情」という同調圧力が、日本の子育てをつらくする──山本一郎×川崎貴子
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